『お前はただの現在にすぎない テレビになにが可能か』《萩元 晴彦,村木 良彦,今野 勉》 (朝日文庫)
後に日本で初のテレビ番組制作会社「テレビマンユニオン」を立ち上げる事になる3人が
「テレビジョンとは何か?」と問うた本。
と、思って手に取った本書だが、内容は想像していたものとは全然違った。
いや、内容そのものはまさしく三人の著者が「テレビジョンとは何か?」と真摯に問い続けた本なのだが、その背景は1968年の「TBS闘争」である。
「TBS闘争」とは何か。それはまさしく萩元・村木の両氏が「テレビジョンとは何か」と考えて創った番組が「偏向している」という理由で(表面上、辞令はそんなことは一言も触れてない)部署を配転された問題、3月10日成田空港反対闘争の現場で宝官正章記者が取材用のマイクロバスに反対派農民のおばちゃんたちを集会の現場に「送っていった」時に偶々「プラカード」を持参していたことが警官隊の検問によりこのプラカードが「武器」として「領置」されたという「3.10成田事件」。そしてTBSの看板ニュース番組「ニュースコープ」のキャスター田英夫氏が突然“辞任”することになった事件。
この三つの“事件”を元にTBS労組は燃え上がった。団体交渉、ティーチ・イン、全スト、指名スト。その中でTBS労働者に突きつけられた「テレビジョンとは何か」の
とその後の状況を様々な資料と取材のコラージュによって構成した「テレビジョンとは何か」と問うた本。
3.10成田事件。萩元・村木配転事件。田英夫ニュースコープ“辞任”事件。
三つの事件からTBS労組は立ち上がった。
その“現場”から常に問い続ける「テレビジョンとは何か」「テレビジョンに何が出来るのか」
1968年。「日大闘争」「東大闘争」「10.21新宿騒乱」「1.19東大落城」そのときテレビジョンは何を映し出していたのか?
多くの社会主義政権が倒れ、左翼運動は衰退した今から見ると、「彼らはどんな世界を夢見て居たのか?」は中々読み取るのが難しい。彼らの夢見ていたのは「どんな権力からも弾圧されない自由な表現の場」そこでテレビジョンには何ができるのか。
労組集会、ティーチ・イン、各組織からの発表資料、彼らの取材。それらの資料をコラージュの様に構成して問いかけた「テレビジョンとは何か」
いま、テレビジョンの状況は、はっきり言って「惨憺たる状況」そしてインターネットとブログという新しいメディアに囲まれた状況からこの本を読むと「テレビジョンに幻想を持ちすぎかな?」と思わないではない。萩元さんが「テレビジョンにできること」と想定していたことが、今や「マスコミという権力」を持たなくても発信できる状況。
情報源は新聞・ラジオ・テレビだけではなく、インターネット上に溢れるばかりにあり、そこから事実を選別すするのは受け手に任された世界から今一度問う「テレビジョンとは何か」
そこいらの70年代回顧本とは全然違う、すごい臨場感。
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